106万円の壁は2026年10月に撤廃|何が変わる?手取りへの影響をやさしく解説

更新:2026年7月 ・ 読了目安 約7分

パートで働く人が気にしてきた「106万円の壁」が、2026年10月になくなります。ただし「壁がなくなって自由に働ける」という話ではありません。判断の基準が「いくら稼いだか」から「週に何時間働くか」に変わるのが今回の改正です。何がどう変わるのか、社会保険に入ると手取りはいくら減るのかを、厚生労働省の資料をもとに整理します。

📑 この記事でわかること
  1. そもそも「106万円の壁」とは何だったのか
  2. 2026年10月に変わるのは「①賃金」だけ
  3. なぜ撤廃するのか=最低賃金が追い越したから
  4. 勤務先の規模の条件も、10年かけてなくなる
  5. 社会保険に入ると、手取りはいくら減る?
  6. 「働き損」を抜けるには、あと2割ほど必要
  7. 「130万円の壁」は今回なくならない
  8. 損なことばかりではない
  9. よくある質問
  10. まとめ
判断のものさしが「金額」から「時間」に変わる これまで(2026年9月まで) 月8.8万円 =年収106万円が目安 2026年10月から 週20時間 =賃金はいくらでも関係なし 理由:最低賃金が全国で時給1,016円を超え、週20時間働くと 自動的に月8.8万円に届くようになったため(賃金要件が意味を持たなくなった)。 ※ほかに「勤務先の従業員51人以上」「学生でない」の条件は残る。 ※配偶者の扶養から外れる「130万円の壁」は今回なくならない。

そもそも「106万円の壁」とは何だったのか

パートやアルバイトで働く人が、自分の勤務先で社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになるラインです。正確には「年収106万円」という基準があるわけではなく、次の4つの条件をすべて満たすと加入する、という決まりでした。

条件内容
① 賃金所定内賃金が月8.8万円以上(12か月で約106万円になるので「106万円の壁」と呼ばれてきた)
② 労働時間週の所定労働時間が20時間以上
③ 勤務先の規模従業員51人以上の企業(厚生年金の被保険者数で数える)
④ 学生かどうか学生ではないこと

このうち①だけを見て「月8.8万円を超えないように」とシフトを調整する人が多く、それが働く時間を抑える原因になっていました。

2026年10月に変わるのは「①賃金」だけ

2026年10月に撤廃されるのは①の賃金要件だけです。②〜④はそのまま残ります。つまりこれからは、週20時間以上働くなら、月にいくら稼いでいても社会保険に入ることになります。

⏱️ 「壁がなくなる=負担がなくなる」ではありません。これまで月8.8万円未満に抑えて加入を避けていた人は、週20時間以上働いていれば加入することになります。調整する対象が「金額」から「時間」に移った、と考えるのが正確です。

なぜ撤廃するのか=最低賃金が追い越したから

理由はシンプルで、最低賃金が上がって、賃金要件が意味を持たなくなったからです。

時給1,016円で週20時間働くと、月の賃金はちょうど8.8万円に届きます。2025年度(令和7年度)の地域別最低賃金はすべての都道府県で時給1,016円を超えました。つまり、週20時間以上働けば最低賃金でも自動的に①を満たしてしまうため、条件として残す意味がなくなった、というわけです。

なお例外として、最低賃金法には一定の場合に最低賃金の減額を認める特例があります。この特例の対象になる短時間労働者で月8.8万円未満の人は、原則として加入しないままになります(希望すれば任意で加入することも可能です)。

勤務先の規模の条件も、10年かけてなくなる

いま残っている「従業員51人以上」という条件も、段階的に引き下げられて最終的になくなります。スケジュールは決まっています。

時期対象になる企業
現在従業員 51人以上
2027年10月から従業員 36人以上
2029年10月から従業員 21人以上
2032年10月から従業員 11人以上
2035年10月から従業員 10人以下も対象(=事実上すべての企業)

いま小さな職場で働いていて対象外の人も、いずれは対象になるということです。「今は関係ない」ではなく「何年後に自分の番が来るか」で考えておくと慌てずにすみます。

また、規模の条件を満たさない企業でも、従業員の2分の1以上の同意があれば任意で加入できるしくみがあります。2026年10月以降にこの制度を使って任意加入する場合、事業主が短時間労働者の保険料の一部を負担すると、3年間の制度的な支援(保険料調整制度)を受けられます。

社会保険に入ると、手取りはいくら減る?

いちばん気になるところです。会社員の社会保険料は会社と本人で半分ずつ負担します。本人が負担するのは、健康保険・厚生年金・雇用保険を合わせておおよそ年収の14.7%です。

年収別に、本人が負担する社会保険料の目安をまとめました(東京都・協会けんぽ・40歳未満・賞与なしの場合)。

年収社会保険料(年)月あたり
100万円約146,500円約12,200円
106万円約155,300円約12,900円
110万円約161,200円約13,400円
120万円約175,900円約14,700円
130万円約190,500円約15,900円
150万円約219,800円約18,300円

この表の金額は、当サイトの年収の手取りシミュレーターの計算ロジックをそのまま使って算出しています。健康保険料率は都道府県や健保組合によって少し違うため、あくまで目安としてご覧ください。

「働き損」を抜けるには、あと2割ほど必要

社会保険に入ると手取りは一度下がります。では元の手取りに戻すには、いくら稼げばいいのか。同じ計算ロジックで求めると、おおよそ次のようになりました。

加入前の年収同じ手取りに戻る年収必要な上乗せ
100万円約118万円+約18万円
106万円約125万円+約19万円
110万円約130万円+約20万円

つまり中途半端に少しだけ増やすのがいちばんもったいないという構造は、これまでと同じです。加入することになったなら、2割ほど多く働いて一気に抜けるか、週20時間未満に抑えるか。どちらかに寄せたほうが手取りは安定します。

「130万円の壁」は今回なくならない

混同しやすいので整理します。この2つは別の制度です。

意味2026年10月の改正で
106万円の壁自分の勤務先で社会保険に入るライン撤廃(週20時間で判定へ)
130万円の壁配偶者などの社会保険の扶養から外れるラインそのまま残る

週20時間未満で働いていて自分の勤務先の社会保険に入らない人にとっては、引き続き130万円が意識するラインになります。逆に、勤務先の社会保険に加入した場合は、その時点で配偶者の扶養からは外れます(自分の保険を持つことになるため)。

損なことばかりではない

負担が増える話ばかりしましたが、社会保険に入ることで受けられるものも増えます。ここは冷静に見ておきたいところです。

「手取りが減る」という一面だけで判断せず、何年その働き方を続けるのかで考えるのがおすすめです。数年で終わる働き方なら手取り重視、これから長く働くつもりなら加入のメリットは小さくありません。

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よくある質問

Q. 2026年10月から、パートは全員社会保険に入るのですか?

いいえ。週20時間以上働いていて、勤務先が従業員51人以上で、学生でない場合です。週20時間未満なら、これまでどおり加入対象にはなりません。

Q. 週20時間ちょうどだとどうなりますか?

「20時間以上」なので、ちょうど20時間なら対象です。判定に使うのは実際の残業時間ではなく、契約上の所定労働時間が基本です。自分の契約が何時間になっているかは勤務先で確認してください。

Q. 「106万円の壁」の月8.8万円に、通勤手当や残業代は入りますか?

入りません。判定に使うのは所定内賃金で、通勤手当・残業代・賞与などは含めないのが原則です。なお130万円の壁のほうは通勤手当も含めて見るのが原則で、扱いが違うので注意してください。

Q. 自営業(個人事業主)にも関係しますか?

関係ありません。106万円の壁は「勤務先の社会保険に入るかどうか」の話なので、勤務先がない個人事業主には適用されません(→個人事業主の手取り)。

まとめ

ほかの関連:扶養内はいくらまで?共働きの世帯手取りコラム一覧へ

情報更新日:2026年7月|このサイトについて・免責。制度の内容は厚生労働省「短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント」(令和8年1月作成)および令和7年年金制度改正法にもとづく2026年7月時点の情報です。社会保険料の試算は東京都・協会けんぽ・40歳未満・賞与なしの概算で、健康保険料率は加入先により異なります。自分が加入対象になるかどうかは、勤務先または年金事務所にご確認ください。