年収の壁とは?103万→123万・106万・130万・160万を2025年改正対応で解説

更新:2026年7月 ・ 読了目安 約8分

「年収の壁」は、ある金額を超えると税金がかかり始めたり、社会保険料の負担が増えたりするラインのこと。実は「税金の壁」と「社会保険の壁」の2種類があり、ごっちゃにすると混乱します。2025年の改正で数字も動きました。ここでスッキリ整理しましょう。

📑 この記事でわかること
  1. 壁は「税金」と「社会保険」の2グループ
  2. 2025年の改正でこう変わった
  3. 社会保険には、年収いくらから入る?
  4. いちばん意識したいのは「130万円」
  5. ケース別:どの壁を気にすればいい?
  6. 130万円を超えると、手取りはいくら下がる?
  7. よくある質問
  8. まとめ
4つの壁マップ(2025年〜) 年収 106万 社保に加入(勤務先次第) 123万 所得税がかかり始める 130万 社保の扶養を外れる 160万 配偶者特別控除 満額の上限 税金の壁 社会保険の壁(手取りへの影響大)
壁は2種類。性質がまったく違うので、分けて考えるのがコツです

壁は「税金」と「社会保険」の2グループ

まず、年収の壁は大きく次の2つに分けて考えると分かりやすいです。

影響の大きさはまったく違います。税金の壁は超えても増えるのは数千円〜数万円の税金だけですが、社会保険の壁を超えると年15万円以上の保険料が新たに発生します。気にすべきは圧倒的に社会保険の壁のほうです。

年収の壁 一覧表

年収種類何が起きる?
106万円社会保険勤務先の条件しだいで社保に加入
2026年10月にこの金額基準は撤廃
123万円税金本人に所得税がかかり始める/税の扶養から外れる
130万円社会保険社会保険の扶養から外れる(影響 最大)
150万円税金大学生の子(19〜22歳)の控除が満額の上限
160万円税金配偶者特別控除が満額の上限
201.6万円税金配偶者特別控除がなくなる

2025年の改正でこう変わった

意味(2025年〜)
123万円
(旧103万円)
本人に所得税がかかり始める目安。親や配偶者の「税の扶養」から外れるラインも、103万円から123万円に引き上げられました(基礎控除・給与所得控除がそれぞれ10万円アップ)。
106万円
(2026年10月に撤廃)
勤務先の条件を満たすと、本人が社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する目安。週20時間以上・月8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でない、などの条件で対象になります。このうち「月8.8万円以上」の金額基準は2026年10月に撤廃され、判定は労働時間だけになります。
130万円原則、年収130万円以上になると配偶者の社会保険の扶養(第3号)から外れ、自分で国民年金・国民健康保険(または勤務先の社保)に加入します。手取りへの影響が大きい壁です。
160万円
(旧150万円)
配偶者特別控除が満額受けられる、配偶者の年収の上限。150万円から160万円に引き上げられました。

社会保険には、年収いくらから入る?

「結局いくら稼いだら社会保険に入るの?」がいちばん知りたいところだと思います。答えは勤務先の規模と働き方で変わるので、順番に見ていくのが確実です。

① 勤務先が従業員51人以上の場合

次の条件をすべて満たすと、自分の勤務先の社会保険に加入します。

2026年10月からは、金額の条件がなくなり「週20時間以上かどうか」で決まります。最低賃金が上がった結果、週20時間働けば自動的に月8.8万円に届くようになり、金額の条件が意味をなさなくなったためです(→106万円の壁は2026年10月に撤廃)。

② 勤務先が従業員50人以下の場合

上の条件にあてはまらないため、勤務先の社会保険には原則入りません。この場合に意識するのは130万円のほうです。年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れ、自分で国民年金・国民健康保険に加入します。

なお企業規模の条件も段階的になくなり、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月には全企業が対象になる予定です。いまは50人以下の職場でも、いずれ①のルールに変わります。

まとめると、いま社会保険に入る目安は「週20時間以上+勤務先が51人以上」なら年収106万円あたり、そうでなければ年収130万円。2026年10月以降は、前者の金額の目安がなくなり、時間だけで決まります。

いちばん意識したいのは「130万円」

税金の壁(123万・160万)は、超えても税負担が少しずつ増えるだけで、いきなり大損するわけではありません。一方、130万円を超えて社会保険の扶養を外れると、自分で保険料を負担することになり、手取りが一段下がることがあります(いわゆる「働き損」と言われる部分)。

ただし社会保険に加入すると、将来の年金が増えたり、傷病手当金などの保障が手厚くなるメリットもあります。「壁を超えない」ことだけが正解とは限りません。

ケース別:どの壁を気にすればいい?

① 会社員の夫(妻)の扶養内でパート

意識する順番は 106万円(勤務先の条件次第)→130万円 です。130万円を超えて社会保険の扶養から外れると、保険料を自分で払うことになります。中途半端に超えるのがいちばんもったいないゾーンなので、超えるならしっかり働いて保険料分を取り返す(目安として152万円以上)のが一つの考え方です。

② 大学生の子ども(19〜22歳)のアルバイト

2025年の改正で「特定親族特別控除」ができ、大学生年代の子は年収150万円までなら親の控除が満額のまま。150万円を超えても控除は段階的に減る形で、188万円でゼロになります。「103万円を超えると親の税金が一気に増える」時代と比べて、かなり働きやすくなりました(→扶養に入れるか判定ツール)。

③ フリーランス・個人事業主として働く

個人事業主に「106万円の壁」はありません(勤務先の社会保険がないため)。社会保険の扶養(130万円)の判定は「所得(売上−経費)」で見られるのが一般的です。税金も事業所得で決まります(→個人事業主の手取りシミュレーター)。

130万円を超えると、手取りはいくら下がる?

ここがこの記事でいちばん大事なところです。年収が1万円ふえただけで、手取りが16万円下がるという逆転が実際に起きます。勤務先の社会保険に加入するケースで、当サイトの手取り計算ツールで計算しました(40歳未満・扶養なし・賞与なしの場合)。

年収社会保険手取り
129万円扶養内(負担なし)約126.4万円
130万円自分で加入約110.2万円
140万円自分で加入約117.8万円
150万円自分で加入約125.5万円
152万円自分で加入約127.1万円

129万円のときの手取りは約126.4万円。ところが130万円になると約110.2万円まで落ち、その差は約16.2万円です。そして注目してほしいのは150万円まで働いても、まだ129万円のときの手取りに届かないこと。追いつくのは年収152万円あたりからです。

つまり「130万〜152万円」は、働いても手取りが増えないゾーン。ここを中途半端に超えるのがいちばんもったいないので、130万円未満に抑えるか、思い切って152万円以上まで働くかのどちらかに寄せるのがおすすめです。

なお、勤務先の社会保険に入れず自分で国民年金+国民健康保険に加入する場合は、さらに負担が重くなります。国民年金だけで年210,120円(月17,510円・令和7年度)、国民健康保険を足すとおおむね年25〜30万円。会社が半分払ってくれる社会保険とは違い、全額が自己負担になるためです。

一方、勤務先の社会保険に加入できる場合は、保険料の半分を会社が負担してくれるうえ、将来の厚生年金が増え、傷病手当金・出産手当金の対象にもなります。目先の手取りだけでなく、保障の中身まで含めて判断するのがおすすめです(→傷病手当金シミュレーター)。

※「106万円」は勤務先の規模や働き方の条件によって対象が変わります。また、2025年の改正で引き上げられた基礎控除(合計所得132万円以下で95万円など)は令和7年分・令和8年分=2025年・2026年の2年間の上乗せ特例で、令和9年分(2027年)からは原則58万円に戻る予定です。つまり123万円の壁も2027年に下がる可能性があります。最新の取扱いは国税庁・日本年金機構や勤務先でご確認ください。

年収が変わると手取りはどうなる?

年収の手取りシミュレーターで計算する →

よくある質問

Q. 通勤手当(交通費)は年収に含めますか?

壁によって違います。106万円の壁の「月8.8万円」の判定には、通勤手当や残業代は含めません。一方、130万円の壁の判定には通勤手当も含めるのが原則です。ここはよく混同されるので注意してください。

Q. 「106万円の壁」はなくなるって本当?

本当です。106万円の賃金要件(月8.8万円以上)は2026年10月に撤廃されます。これからは「週20時間以上働くかどうか」が社会保険加入の主な基準になります。勤務先の規模の条件(従業員51人以上)も2035年10月までに段階的になくなる予定です。→ 詳しくは106万円の壁は2026年10月に撤廃|何が変わる?

Q. 壁ギリギリで調整するのと、超えて働くのはどっちが得?

税金の壁は、超えても「増えた分の一部に税金がかかる」だけなので、働いた分だけ手取りは増えます。悩ましいのは社会保険の130万円だけ。超えるなら中途半端に超えず、保険料分を取り返せる水準まで働くか、社会保険の保障メリットまで含めて判断しましょう。

まとめ

ほかの関連:住民税はいくら?個人事業主の手取りシミュレーターコラム一覧へ

情報更新日:2026年7月|計算の根拠・参照元について。本記事は一般的な説明です。参照:国税庁(基礎控除・配偶者控除)/日本年金機構・厚生労働省(社会保険の適用)。制度は改正が続くため、最新情報は公式でご確認ください。