障害年金とは?いくらもらえる・3つの条件・傷病手当金との関係

更新:2026年8月 ・ 読了目安 約8分

公的年金は「老後にもらうもの」だけではありません。病気やけがで働きづらくなったときに受け取れるのが障害年金です。会社員が最初に使うのは傷病手当金ですが、それは最長1年6か月で終わります。その先を支えるのが障害年金です。いくらもらえるのか、受け取るための3つの条件、請求のしかたを整理します。

📑 この記事でわかること
  1. 公的年金には3つの顔がある
  2. いくらもらえる?(令和8年度)
  3. 受け取るための3つの条件
  4. 傷病手当金が切れた「その先」を支える
  5. 1級・2級・3級はどう違う?
  6. わが家の考え:まず「初診日」を確認する
  7. よくある質問
  8. まとめ

公的年金には3つの顔がある

年金というと老後のイメージですが、公的年金が支えるのは3つの場面です。

種類どんなとき
老齢年金歳をとって働けなくなったとき
遺族年金亡くなって家族が残されたとき(→遺族年金はいくら?
障害年金病気やけがで生活や仕事が制限されるとき

障害年金は「障害者手帳を持っている人がもらうもの」と誤解されがちですが、手帳の有無とは別の制度です。手帳がなくても受け取れますし、手帳があっても年金の等級に当てはまらないこともあります。がん、糖尿病、心疾患、うつ病などの内部疾患や精神疾患も対象で、外見で分かる障害だけの話ではありません。

いくらもらえる?(令和8年度)

自営業・フリーランス(国民年金)なら障害基礎年金、会社員・公務員(厚生年金)なら障害基礎年金+障害厚生年金の2階建てになります。ここが遺族年金と同じ構造です。

障害基礎年金(1階部分)

等級年額月額のめやす
1級1,059,125円約88,260円
2級847,300円約70,608円

1級は2級の1.25倍と決まっています。2級の847,300円は老齢基礎年金を満額納めた場合と同じ額です。さらに子どもがいると加算があります。

対象加算額(年)
子 1人目・2人目(1人につき)243,800円
子 3人目以降(1人につき)81,300円

対象になる子は18歳になった後の最初の3月31日まで、または20歳未満で1級・2級の障害の状態にある子です。たとえば2級で子が2人いれば、847,300+243,800×2=年1,334,900円になります。

障害厚生年金(2階部分・会社員と公務員)

厚生年金に入っている間に初診日があれば、報酬比例の年金が上乗せされます。ここがいちばん大きな違いで、障害厚生年金には3級と障害手当金があります

等級受け取れるもの
1級障害基礎年金1級 + 報酬比例×1.25 + 配偶者の加給年金
2級障害基礎年金2級 + 報酬比例 + 配偶者の加給年金
3級報酬比例のみ(障害基礎年金は出ない)
障害手当金一時金(報酬比例額×2)

配偶者の加給年金は243,800円(65歳未満の配偶者がいる1級・2級の場合)。報酬比例の額は加入期間と過去の給与で決まり、平成15年4月以降の期間は平均標準報酬額×5.481/1000×月数で計算します(→遺族年金シミュレーターでも同じ計算式を使っています)。

3級には最低保障がある
報酬比例の額が少なくても、障害厚生年金3級には年635,500円の最低保障があります(昭和31年4月1日以前生まれは633,700円)。障害手当金の最低保障は1,271,000円です。自営業・フリーランスには3級がありません。国民年金だけの場合、2級に届かなければ年金は出ないため、ここは会社員との差が大きい部分です。

受け取るための3つの条件

次の3つをすべて満たす必要があります。ひとつでも欠けると受け取れません。

条件中身
① 初診日その病気やけがではじめて医師の診察を受けた日に、国民年金や厚生年金に加入していたこと
② 保険料の納付初診日の前日の時点で、保険料をきちんと納めていたこと(下記)
③ 障害の状態障害認定日に、等級表に定める状態にあること

①「初診日」がすべての起点になる

障害年金でいちばん重要なのが初診日です。この日にどの年金に入っていたかで、受け取れる年金の種類が決まります。会社員のときに初診日があれば障害厚生年金(3級まで対象)、退職後に初診日があれば障害基礎年金だけ(2級まで)。同じ病気でも、初診日が1日違うだけで結果が変わることがあります。

だからこそ、初診日を証明できるかどうかが実務上の最大の関門になります。転院していると最初の病院のカルテが必要で、カルテの保存期間(5年)を過ぎて廃棄されているケースもあります。診察券、お薬手帳、健康診断の記録なども証拠になり得るので、捨てずに取っておくことが結果的に自分を守ります。

② 保険料の納付要件は2つのルートがある

ルート条件
原則初診日がある月の2か月前までの期間で、納付済み+免除の期間が3分の2以上
特例初診日が令和18年3月末日までにあり、初診日に65歳未満で、直近1年間に未納がない

どちらか一方を満たせば大丈夫です。ここで大事なのは「免除」は未納とは違うという点。収入が少なくて保険料を払えないときは、放置せず免除や納付猶予の手続きをしておくと、この要件を満たせます。未納のまま放置すると、いざというときに障害年金を受け取れません。

なお、20歳前に初診日がある場合(年金制度に入る前)は納付要件は不要です。そのかわり本人の所得による支給制限があります。

③ 障害認定日は「初診日から1年6か月後」

障害の状態を判定する日を障害認定日といい、初診日から1年6か月を過ぎた日です。それより早く症状が固定した場合(治療の効果が期待できない状態になった場合)は、その日が認定日になります。

認定日の時点では軽くても、その後悪化して等級に当てはまるようになったときは、あらためて請求できます。これを事後重症による請求といい、この場合は請求した月の翌月分からの支給になります(認定日にさかのぼっての受給はできません)。気づいた時点で早く動くほど、受け取れる額が増えるということです。

傷病手当金が切れた「その先」を支える

会社員が病気やけがで働けなくなったとき、最初に使うのは健康保険の傷病手当金です。給与のおよそ3分の2が支給されますが、期間は通算で最長1年6か月。ここで終わってしまいます(→傷病手当金とは?)。

この1年6か月という長さが、障害認定日(初診日から1年6か月)とちょうど重なっているのは偶然ではありません。制度としては「傷病手当金が終わるころに障害年金にバトンを渡す」という設計になっています。

時期支えるもの
働けなくなった直後〜1年6か月傷病手当金(給与の約2/3)
1年6か月〜障害年金(等級に当てはまる場合)

ただし自動的に切り替わるわけではありません。障害年金は自分で請求しないと1円も出ない制度です。傷病手当金の期限が近づいてきたら、その時点で年金事務所に相談を始めるのが現実的な動き方になります。

両方を満額で受け取れるわけではない
同じ病気やけがで傷病手当金と障害厚生年金の両方を受けられるときは、調整されるのは傷病手当金のほうです。年金の年額を360で割った日額と傷病手当金の日額をくらべ、年金の日額のほうが多ければ傷病手当金は支給されず、少なければその差額だけが支給されます。⚠️年金がさかのぼって決まると、受け取り済みの傷病手当金の返還を求められることがあります。障害年金の請求をしたら、加入している健康保険にもその旨を伝えておくと安全です。

1級・2級・3級はどう違う?

日本年金機構の説明では、おおまかに次のようなイメージとされています。

等級状態のめやす
1級活動の範囲がベッドの周辺に限られるような状態
2級活動の範囲が家の中に限られるような状態
3級労働に著しい制限がある状態(厚生年金のみ)

実際の認定は、部位や疾患ごとに細かく定められた基準(障害認定基準)にそって、診断書の内容で判断されます。「働いているかどうか」だけで決まるわけではありませんが、精神疾患や内部疾患では日常生活の状況が重視されるため、診断書に日常の困りごとが正しく反映されているかがとても重要です。

わが家の考え:まず「初診日」を確認する

障害年金は制度が複雑で、調べ始めると等級や書類の話に埋もれがちです。ただ、最初にやることは1つに絞れます。その病気やけがで最初に受診した日はいつで、そのとき何の年金に入っていたか。ここが分かれば、受け取れる可能性のある年金の種類が決まり、次に何を調べればいいかも決まります。

そして、保険料は払えないときこそ手続きをすること。免除や猶予の申請をしておけば納付要件を満たせますが、黙って未納にしていると将来の障害年金まで失います。ここは老後の話ではなく、明日けがをしたときの話です。

よくある質問

Q. 働きながらでも受け取れますか?

受け取れます。障害年金に「働いてはいけない」という決まりはありません。ただし障害の程度は日常生活や労働の制限の度合いで判断されるため、就労の状況が認定に影響することはあります(特に精神疾患や内部疾患)。実際に働きながら受給している方は多くいます。

Q. 障害者手帳がないと申請できませんか?

手帳は不要です。障害者手帳と障害年金はまったく別の制度で、等級の基準も異なります。手帳2級だから年金も2級、という対応関係はありません。

Q. さかのぼって受け取れますか?

障害認定日の時点で等級に該当していれば、認定日にさかのぼって請求できる場合があります(時効により最大5年分)。一方、事後重症による請求は請求月の翌月分からで、さかのぼりはできません。判断が難しいところなので、年金事務所や社会保険労務士に相談するのが確実です。

Q. 一度決まったら一生もらえますか?

多くの場合、数年ごとに診断書を提出して更新します(障害状態確認届)。障害が軽くなれば等級が下がったり支給が止まったりし、重くなれば額改定請求で等級を上げてもらうこともできます。更新の案内が届いたら必ず期限内に提出してください。

Q. どこに相談すればいいですか?

年金事務所(または「ねんきんダイヤル」)が窓口です。20歳前の初診日など国民年金だけのケースは市区町村の年金窓口でも相談できます。書類が複雑なため、社会保険労務士に依頼する方もいます。

もしものとき、家族にいくら残る?

遺族年金シミュレーターで計算 →

まとめ

ほかの関連:傷病手当金とは?遺族年金はいくら?医療保険はいらない?わが家が入っている保険は3つだけ

情報更新日:2026年8月|計算の根拠・参照元について|ツールの埋め込み。本記事は一般的な説明です。参照:日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」/同「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」/同「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」/同「令和8年4月分からの年金額等について」。実際に受け取れるかどうか・等級の判定は個別の状況によります。必ず年金事務所(ねんきんダイヤル)などでご確認ください。