【2026年8月〜】高額療養費はいくら増えた?上限額の早見表と年間上限

最終更新:2026年9月24日 ・ 読了目安 約12分

入院や手術で医療費が高額になっても、1か月の自己負担には上限があります。それを超えた分が戻る(または最初から上限で済む)のが高額療養費制度。会社員も自営業も使える強い味方です。いくらまでで済むのか、医療費控除との違い、2026年8月の改定、そして70歳以上だけにある「外来だけの上限」まで整理します。

📑 この記事でわかること
  1. 1か月の自己負担に「上限」がある
  2. マイナ保険証か「限度額適用認定証」で立て替えなしに
  3. 何度も続くと「多数回該当」でさらに軽く
  4. 医療費控除・傷病手当金との違い
  5. 【2026年8月〜】上限額はいくら増えた?
  6. 70歳以上は上限の仕組みが違う(外来だけの上限がある)
  7. 2027年8月には所得区分が細かくなる予定
  8. わが家の考え:公的保障が厚いから、医療保険は最小限
  9. よくある質問
  10. まとめ
医療費100万円でも、自己負担は約9万円 窓口3割 いったん30万円を支払い 高額療養費 約9万 約21万円が払い戻し 実質の自己負担 約92,940円 年収約370〜770万円の区分(ウ)の例。上限=85,800円+(医療費−286,000)×1%(2026年8月〜)。 限度額適用認定証があれば、窓口で最初から上限額の支払いで済む。

1か月の自己負担に「上限」がある

高額療養費は、同じ月(1日〜末日)にかかった医療費の自己負担が一定額を超えたとき、超えた分が戻る制度です。会社員の健康保険(協会けんぽ・健保組合など)でも、自営業の国民健康保険でも、後期高齢者医療でも使える共通の制度です。上限額は年収(所得区分)で決まります。70歳未満は5区分です。

下の金額は2026年8月診療分からの上限額です(引き上げ前の旧額との比較は後半の見出し)。

区分(年収の目安)1か月の自己負担の上限
ア(約1,160万円〜)270,300円+(医療費−901,000)×1%
イ(約770〜1,160万円)179,100円+(医療費−597,000)×1%
ウ(約370〜770万円)85,800円+(医療費−286,000)×1%
エ(約370万円まで)61,500円
オ(住民税非課税)36,900円

たとえば区分ウ(年収約370〜770万)で医療費が100万円なら、窓口3割は30万円ですが、上限は85,800+(1,000,000−286,000)×1%=約92,940円。差の約21万円(207,060円)が高額療養費として戻ります。医療費の額と区分を入れれば、高額療養費シミュレーターで戻る金額をすぐ計算できます。

マイナ保険証か「限度額適用認定証」で立て替えなしに

あとから払い戻しを受ける形だと、いったん高額を立て替える必要があります。マイナ保険証を使うか、事前に限度額適用認定証を用意しておけば、窓口の支払いが最初から上限額で済み、大きな立て替えが要りません。協会けんぽの案内では、マイナ保険証を使う場合は認定証の申請は不要です(オンライン資格確認を導入している医療機関に限ります)。

認定証を使う場合は、申請した月より前の月の分は交付されません。入院や手術が決まったら早めに申請しましょう。なお協会けんぽでは、2027年8月に所得区分の見直しが予定されているため、2026年8月以降に交付される認定証の有効期限は最長で2027年7月31日までとされています。申請の手順や期限は高額療養費の申請方法にまとめています。

何度も続くと「多数回該当」でさらに軽く

直近12か月間に高額療養費の対象が3回以上あると、4回目からは上限がさらに下がります(多数回該当)。区分ウなら4回目以降は1か月44,400円。該当月は連続している必要はなく、長期の治療でも家計の負担が抑えられる仕組みです。

注意点は、回数が同じ保険者(加入先)の中でしか数えられないこと。国民健康保険から協会けんぽに移るなど加入先が変わったときや、本人(被保険者)から家族(被扶養者)に変わったときは、それまでの回数は引き継がれません。数え方の具体例は多数回該当と世帯合算で解説しています。

医療費控除・傷病手当金との違い

混同しやすい3つの制度を整理します。

制度何のためポイント
高額療養費医療費の自己負担を抑える1か月の上限を超えた分が戻る(健康保険)
医療費控除税金を軽くする年10万円超の医療費で確定申告→所得控除
傷病手当金働けない間の収入を補う給与の約2/3を最長1年6か月(会社員)

高額療養費で戻った分を除いた自己負担が、医療費控除の対象になります。病気やケガのときは、この3つをセットで押さえておくと安心です(→医療費控除のやり方/傷病手当金とは?)。

【2026年8月〜】上限額はいくら増えた?

高額療養費の自己負担上限は、2026年8月診療分から全所得区分で引き上げられました。厚生労働省の審議会に設けられた専門委員会(2025年5月設置)での議論を経て決まった見直しで、新設の年間上限などを盛り込んだ医療保険制度改正法は2026年5月29日に成立しています(厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」)。

区分
(年収)
1か月の上限額
(7月まで → 8月から)
同じ医療費で
増える額(最大)
ア
1,160万〜
252,600円+1%
→ 270,300円+1%
17,110円
イ
770〜1,160万
167,400円+1%
→ 179,100円+1%
11,310円
ウ
370〜770万
80,100円+1%
→ 85,800円+1%
5,510円
エ
〜370万
57,600円 → 61,500円3,900円
オ
非課税
35,400円 → 36,900円1,500円

ア〜ウの「+1%」は、医療費が一定額(基準額)を超えた分の1%を足すという意味です。この基準額も上がったため(区分ウは267,000円→286,000円)、基本の金額は5,700円上がっていても、同じ医療費で比べた増加は最大5,510円になります。たとえば医療費100万円の月なら、区分ウの上限は87,430円から92,940円へ、ちょうど5,510円の増加です。

いちばん人数の多い区分ウ(年収約370〜770万円)は、上限に届く月が年3回までなら1回あたり最大5,510円の負担増です。一方、負担増をやわらげるため多数回該当は据え置き(区分ウは4回目以降44,400円のまま)なので、治療が長く続いて4回目以降に入った月は増えません。さらに新しく年間上限が導入されました。あなたの区分と医療費での金額は高額療養費シミュレーターで新しい上限額のまま計算できます。

区分年間上限(2026年8月に新設)
ア168万円
イ111万円
ウ・エ53万円(エの一部は41万円※)
オ29万円

※区分エのうち、年収約200万円まで(健保は標準報酬月額15万円以下)と確認できた人は年間上限41万円。この分は2027年8月以降に払い戻し(償還払い)とされています。

新しい「年間上限」がいちばん大きな変化

これまでの高額療養費は1か月ごとの計算でした。そのため「毎月7〜8万円ずつ、1年間ずっと払い続ける」ような人は、月々の上限に届かず高額療養費の対象になりにくく、年間では大きな負担になっていました。

2026年8月からは、8月〜翌年7月の12か月間に実際に払った自己負担の合計にも上限ができました。区分ウなら年53万円。これを超えて払った分は、加入している健康保険から払い戻されます。厚生労働省の審議会資料では「まずは患者本人からの申出を前提とした運用で開始」とされていて、協会けんぽでは年間上限の払い戻しの申請受付を2027年8月から始めると案内しています。いま年間でいくら払っていて、上限まであといくらかはシミュレーターの年間上限の計算で確かめられます。

つまり今回の見直しは「月々の負担は少し増えるが、治療が長く続く人ほど守られる」形です。

70歳以上は上限の仕組みが違う(外来だけの上限がある)

ここまでは70歳未満の話です。70歳以上には、70歳未満にはない「外来だけの上限」があります。入院はせず通院だけを続ける人の負担が重くなりすぎないようにする仕組みで、外来特例と呼ばれます。世帯単位ではなく1人ごとに計算するのも70歳未満との違いです。

この外来特例も、2026年8月から見直されました。

区分(年収の目安)見直し前
(〜2026年7月)
2026年8月から
一般(〜約370万円)18,000円22,000円
(年間上限21.6万円)
住民税非課税8,000円11,000円
(年間上限9.6万円)
住民税非課税で
所得が特に低い
8,000円8,000円(据え置き)

見落とされがちなのが年間上限のはたらきです。住民税非課税の人は月々の上限が8,000円から11,000円に上がりますが、年間9.6万円で頭打ちになります。8,000円×12か月がちょうど9.6万円なので、毎月のように通院して上限まで払う人なら、1年間の負担は今までと変わりません。低所得の人ほど増えないように設計されています。ただし通院が年に数か月だけの人は、その月の上限が上がった分そのまま増えます。

一方、一般区分ははっきりした負担増です。これまでは月18,000円でも年14.4万円で頭打ちでしたが、2026年8月からは年21.6万円まで払う可能性があります。毎月上限まで使う人で年間7.2万円の増加です。

入院した月の「世帯ごとの上限」と窓口の負担割合

入院を含む月は、外来特例ではなく世帯ごとの上限で計算します(2026年8月〜2027年7月)。ここでいう現役並みとは課税所得145万円以上の人のことです。

区分1か月の上限(世帯)年間上限
現役並み70歳未満のウ〜アと同額53万〜168万円
一般(〜約370万円)61,500円53万円
住民税非課税25,700円29万円
非課税で所得が
特に低い
15,700円18万円

窓口の負担割合は70〜74歳が2割、75歳以上(後期高齢者医療)が1割が基本です。ただし課税所得28万円以上で年金収入などが一定額(単身200万円・複数人世帯320万円)以上の人は75歳以上でも2割、現役並み所得の人は3割になります。

多数回該当(直近12か月に3回以上)は70歳以上にもあり、現役並みは70歳未満と同じ(課税所得690万円以上140,100円・380万円以上93,000円・145万円以上44,400円)、一般が44,400円、住民税非課税が24,600円。所得が特に低い区分には多数回該当の設定がありません。なお協会けんぽの説明では、70〜74歳の人が外来だけの上限(外来特例)で高額療養費を受けた月は、多数回該当の回数に数えません。

70歳以上と69歳以下の家族がいる世帯の計算順

同じ医療保険に入っている家族に70歳以上と69歳以下の人がいる場合、厚生労働省の説明では次の3段階で計算します。①70歳以上の人の外来の自己負担を個人ごとに合算し、外来の上限を当てはめて差額を支給。②70歳以上の人の入院分と①で残った額を合計し、70歳以上の世帯の上限を当てはめて支給。③69歳以下の自己負担(21,000円以上のもの)と②で残った額を合計し、世帯全体の上限を当てはめて支給。70歳以上を先に、しかも外来から順に計算するのがポイントです。

当サイトの高額療養費シミュレーターは70歳以上にも対応しています。年齢で「70歳以上」を選ぶと、外来だけの上限(外来特例)と入院を含む月の上限を切り替えて計算できます。区分の判定は年収ではなく課税所得(会社員の健康保険は標準報酬月額)で行うため、正確な区分はマイナポータルや加入先からの通知で確認してください。

2027年8月には所得区分が細かくなる予定

厚生労働省は、2027年8月から70歳未満の所得区分を今の5区分から13区分に細かく分ける予定を示しています。同じ区分の中でも年収が高いほど上限が上がる形です。多数回該当の金額は据え置かれ、年収約200万円までの人は多数回該当が44,400円から34,500円に下がる予定です。

年収の目安今(2026年8月〜)2027年8月〜
(予定)
約1,650万円〜270,300円+1%342,000円+1%
約1,410〜1,650万円270,300円+1%303,000円+1%
約1,160〜1,410万円270,300円+1%変わらず
約1,040〜1,160万円179,100円+1%209,400円+1%
約950〜1,040万円179,100円+1%194,400円+1%
約770〜950万円179,100円+1%変わらず
約650〜770万円85,800円+1%110,400円+1%
約510〜650万円85,800円+1%98,100円+1%
約370〜510万円85,800円+1%変わらず
約260〜370万円61,500円69,600円
約200〜260万円61,500円65,400円
〜約200万円61,500円変わらず
(多数回34,500円・年間上限41万円)
住民税非課税36,900円変わらず

70歳以上の外来特例も、一般区分のうち年収約200万円以上の人は月28,000円(年間上限21.6万円は同じ)、住民税非課税の人は月13,000円(年間上限9.6万円は同じ)に見直す予定です。いずれも厚生労働省の資料「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」に示された予定で、確定した金額は施行が近づいたら加入先の案内で確認してください。本記事も公式の発表にあわせて更新します。

わが家の考え:公的保障が厚いから、医療保険は最小限

高額療養費があるおかげで、日本では医療費が青天井になることはまずありません。だからわが家は公的保障を土台に、民間の医療保険は最小限にしています。貯蓄である程度カバーできるなら、月々の医療保険料を払い続けるより手元にお金を残すほうが合理的なことも多いです(→医療保険はいらない?/わが家が入っている保険は3つだけ)。

よくある質問

Q. マイナ保険証なら、限度額適用認定証の申請はいりませんか?

協会けんぽの案内では、マイナ保険証を使う場合は申請不要です。オンライン資格確認を導入している医療機関なら、窓口の支払いが最初から上限額までになります。ただし住民税非課税などの低所得の人は、マイナ保険証を使う場合でも「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請が必要です。マイナ保険証を使わない場合や、オンライン資格確認のない医療機関では、事前に限度額適用認定証を申請して窓口に出します。

Q. 払い戻しはいつごろ受け取れますか?

医療機関から届く診療報酬明細書(レセプト)を確認してから支給されるため、受診した月から少なくとも3か月程度かかります。支払いが難しいときは、戻る見込額の一部を無利子で借りられる高額医療費貸付制度があります(協会けんぽは見込額の8割相当。利用の可否や水準は加入先によって異なります)。申請は、診療を受けた月の翌月1日から2年以内ならさかのぼってできます。

Q. 家族の医療費や、複数の病院の分は合算できますか?

できます(世帯合算)。合算できるのは同じ医療保険に入っている家族の分で、住所が別でも合算できますが、共働きで別々の健康保険に入っている夫婦は合算できません。70歳未満は、医療機関ごと・入院と外来ごと・医科と歯科ごとに1か月21,000円以上の自己負担だけが対象です(院外処方の薬代は処方せんを出した医療機関の分に含めます)。70歳以上はこの21,000円の条件がなく、すべて合算できます。

Q. 差額ベッド代や食事代も対象ですか?

いいえ。高額療養費の対象は保険がきく医療費の自己負担だけです。差額ベッド代、入院中の食事代・居住費、先進医療にかかる費用などは対象外なので、別に自己負担が残ります。

Q. 「高額医療費」と「高額療養費」は同じものですか?

制度の正式な名前は高額療養費です。「高額医療費」と呼ばれることも多く、たいていは同じ制度を指しています。ただし名前の似た別の制度もあります。ひとつは上で触れた高額医療費貸付制度。もうひとつは高額介護合算療養費で、毎年8月から1年間にかかった医療費と介護費の自己負担を合算し、基準額を超えた分が戻る制度です。

申請の手順や必要書類は高額療養費の申請方法、家族の分の合算例は多数回該当と世帯合算で詳しく説明しています。

わが家の場合はいくら戻る?

高額療養費シミュレーターで計算 →

まとめ

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情報更新日:2026年9月24日|計算の根拠・参照元について|ツールの埋め込み。本記事は一般的な説明です。参照:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」(令和8年8月〜令和9年7月・令和9年8月〜の限度額表)/同「高額療養費制度を利用される皆さまへ」/同「医療保険制度改正法が成立しました」/社会保障審議会 医療保険部会(高額療養費制度の見直し)/協会けんぽ「高額療養費」「限度額適用認定証」「よくあるご質問」(2026年9月24日に照合)。上限額・改定内容・所得区分の判定は、加入する健康保険や自治体の通知など最新の公式情報でご確認ください。