【2026年8月改正】高額療養費はいくら増える?上限額の早見表と70歳以上の外来特例

更新:2026年8月 ・ 読了目安 約9分

入院や手術で医療費が高額になっても、1か月の自己負担には上限があります。それを超えた分が戻る(または最初から上限で済む)のが高額療養費制度。会社員も自営業も使える強い味方です。いくらまでで済むのか、医療費控除との違い、2026年8月の改定、そして70歳以上だけにある「外来だけの上限」まで整理します。

📑 この記事でわかること
  1. 1か月の自己負担に「上限」がある
  2. 「限度額適用認定証」で立て替えなしに
  3. 何度も続くと「多数回該当」でさらに軽く
  4. 医療費控除・傷病手当金との違い
  5. 【2026年8月改正】上限額はいくら増える?
  6. 70歳以上は上限の仕組みが違う(外来だけの上限がある)
  7. わが家の考え:公的保障が厚いから、医療保険は最小限
  8. よくある質問
  9. まとめ
医療費100万円でも、自己負担は約9万円 窓口3割 いったん30万円を支払い 高額療養費 約9万 約21万円が払い戻し 実質の自己負担 約92,940円 年収約370〜770万円の区分(ウ)の例。上限=85,800円+(医療費−286,000)×1%(2026年8月〜)。 限度額適用認定証があれば、窓口で最初から上限額の支払いで済む。

1か月の自己負担に「上限」がある

高額療養費は、同じ月(1日〜末日)にかかった医療費の自己負担が一定額を超えたとき、超えた分が戻る制度です。上限額は年収(所得区分)で決まります。70歳未満は5区分です。

下の金額は2026年8月からの上限額です(2026年7月までは1つ下の見出しの旧額)。

区分(年収の目安)1か月の自己負担の上限
ア(約1,160万円〜)270,300円+(医療費−901,000)×1%
イ(約770〜1,160万円)179,100円+(医療費−597,000)×1%
ウ(約370〜770万円)85,800円+(医療費−286,000)×1%
エ(約370万円まで)61,500円
オ(住民税非課税)36,900円

たとえば区分ウ(年収約370〜770万)で医療費が100万円なら、窓口3割は30万円ですが、上限は85,800+(1,000,000−286,000)×1%=約92,940円。差の約21万円が高額療養費として戻ります。実際の金額は高額療養費シミュレーターで確認できます。

「限度額適用認定証」で立て替えなしに

あとから払い戻しを受ける形だと、いったん高額を立て替える必要があります。事前に限度額適用認定証(またはマイナ保険証の利用)を用意しておけば、窓口の支払いが最初から上限額で済み、大きな立て替えが要りません。入院や手術が決まったら早めに準備しましょう。認定証は申請した月より前にさかのぼれません。申請の手順や期限は高額療養費の申請方法にまとめています。

何度も続くと「多数回該当」でさらに軽く

直近12か月間に高額療養費の対象が3回以上あると、4回目からは上限がさらに下がります(多数回該当)。区分ウなら4回目以降は1か月44,400円。長期の治療でも家計の負担が抑えられる仕組みです。

医療費控除・傷病手当金との違い

混同しやすい3つの制度を整理します。

制度何のためポイント
高額療養費医療費の自己負担を抑える1か月の上限を超えた分が戻る(健康保険)
医療費控除税金を軽くする年10万円超の医療費で確定申告→所得控除
傷病手当金働けない間の収入を補う給与の約2/3を最長1年6か月(会社員)

高額療養費で戻った分を除いた自己負担が、医療費控除の対象になります。病気やケガのときは、この3つをセットで押さえておくと安心です(→医療費控除のやり方傷病手当金とは?)。

【2026年8月改正】上限額はいくら増える?

高額療養費の自己負担上限は、2026年8月から全所得区分で引き上げられます(2025年8月の実施は見送られ、あらためて決まった経緯があります)。根拠となる改正法は2026年5月29日に成立しました。

区分
(年収)
1か月の上限額はいくら増えた?

1,160万〜
252,600円+1% → 270,300円+1%
+17,700円

770〜1,160万
167,400円+1% → 179,100円+1%
+11,700円

370〜770万
80,100円+1% → 85,800円+1%
+5,700円

〜370万
57,600円 → 61,500円
+3,900円

非課税
35,400円 → 36,900円
+1,500円

いちばん人数の多い区分ウ(年収約370〜770万円)は、1か月の上限が5,700円上がりました。上限まで払う月が年に2回あれば年11,400円、毎月続けば年68,400円の増加です。ただし負担増をやわらげる措置として多数回該当は据え置き(区分ウは4回目以降44,400円のまま)で、さらに新しく年間上限が導入されました。

区分年間上限(2026年8月に新設)
168万円
111万円
ウ・エ53万円
29万円

新しい「年間上限」がいちばん大きな変化

これまでの高額療養費は1か月ごとの計算でした。そのため「毎月7〜8万円ずつ、1年間ずっと払い続ける」ような人は、月々の上限に届かず高額療養費の対象になりにくく、年間では大きな負担になっていました。

2026年8月からは、8月〜翌年7月の12か月間に実際に払った自己負担の合計にも上限ができます。区分ウなら年53万円。これを超えて払った分は、加入している健康保険から払い戻されます。まずは本人の申し出を前提とした運用で始まる予定なので、心当たりがあれば加入先に問い合わせてみてください。

つまり今回の改正は「月々の負担は少し増えるが、治療が長く続く人ほど守られる」形です。2027年8月には所得区分がさらに5区分から13区分に細分化される方針で、負担は今より年収に応じた形になっていきます。

70歳以上は上限の仕組みが違う(外来だけの上限がある)

ここまでは70歳未満の話です。70歳以上には、70歳未満にはない「外来だけの上限」があります。入院はせず通院だけを続ける人の負担が重くなりすぎないようにする仕組みで、外来特例と呼ばれます。世帯単位ではなく1人ごとに計算するのも70歳未満との違いです。

この外来特例も、2026年8月から見直されました。

区分(年収の目安)2026年7月まで2026年8月から
一般(〜約370万円)18,000円22,000円
(年間上限21.6万円)
住民税非課税8,000円11,000円
(年間上限9.6万円)
住民税非課税で
所得が特に低い
8,000円8,000円(据え置き)

見落とされがちなのが年間上限のはたらきです。住民税非課税の人は月々の上限が8,000円から11,000円に上がりますが、年間9.6万円で頭打ちになります。8,000円×12か月がちょうど9.6万円なので、毎月のように通院して上限まで払う人なら、1年間の負担は今までと変わりません。低所得の人ほど増えないように設計されています。ただし通院が年に数か月だけの人は、その月の上限が上がった分そのまま増えます。

一方、一般区分ははっきりした負担増です。これまでは月18,000円でも年14.4万円で頭打ちでしたが、2026年8月からは年21.6万円まで払う可能性があります。毎月上限まで使う人で年間7.2万円の増加です。

入院した月の「世帯ごとの上限」と窓口の負担割合

入院を含む月は、外来特例ではなく世帯ごとの上限で計算します(2026年8月〜2027年7月)。ここでいう現役並みとは課税所得145万円以上の人のことです。

区分1か月の上限(世帯)年間上限
現役並み70歳未満のウ〜アと同額53万〜168万円
一般(〜約370万円)61,500円53万円
住民税非課税25,700円29万円
非課税で所得が
特に低い
15,700円18万円

窓口の負担割合は70〜74歳が2割、75歳以上(後期高齢者医療)が1割が基本です。ただし課税所得28万円以上で年金収入などが一定額(単身200万円・複数人世帯320万円)以上の人は75歳以上でも2割、現役並み所得の人は3割になります。

多数回該当(直近12か月に3回以上)は70歳以上にもあり、現役並みの一部と一般が44,400円、住民税非課税が24,600円。所得が特に低い区分には多数回該当の設定がありません。

当サイトの高額療養費シミュレーター70歳以上にも対応しています。年齢で「70歳以上」を選ぶと、外来だけの上限(外来特例)と入院を含む月の上限を切り替えて計算できます。区分の判定は年収ではなく課税所得で行うため、正確な区分はお手元の保険証や自治体からの通知で確認してください。

わが家の考え:公的保障が厚いから、医療保険は最小限

高額療養費があるおかげで、日本では医療費が青天井になることはまずありません。だからわが家は公的保障を土台に、民間の医療保険は最小限にしています。貯蓄である程度カバーできるなら、月々の医療保険料を払い続けるより手元にお金を残すほうが合理的なことも多いです(→医療保険はいらない?わが家が入っている保険は3つだけ)。

よくある質問

Q. 差額ベッド代や食事代も対象ですか?

いいえ。高額療養費の対象は保険がきく医療費だけです。差額ベッド代、入院中の食事代、先進医療の技術料などは対象外なので、別に自己負担が残ります。

Q. 複数の病院の医療費は合算できますか?

70歳未満は、1つの医療機関で1か月21,000円以上の自己負担が複数あれば合算できます。同じ世帯の家族の分(同じ健康保険)も合算の対象です。70歳以上にはこの21,000円の縛りがなく、少額の自己負担もすべて合算できます。ここは70歳以上のほうが有利な点です。

Q. 自営業(国民健康保険)でも使えますか?

使えます。高額療養費は会社員の健康保険も国民健康保険も共通の制度です。ただし傷病手当金は原則、会社員(健康保険)のみで、国保にはありません。

Q. 「高額医療費」と「高額療養費」は同じものですか?

制度の正式な名前は高額療養費です。「高額医療費」と呼ばれることも多く、たいていは同じ制度を指しています。ただし名前の似た別の制度もあるので、窓口で話すときは注意してください。ひとつは高額医療費貸付制度で、高額療養費が戻ってくるまでの数か月間、その見込額の8〜9割ほどを無利子で貸してくれる仕組みです(割合や取り扱いは加入先によって異なります)。もうひとつは高額介護合算療養費で、毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間にかかった医療費と介護費を合算して、上限を超えた分が戻る制度です。

Q. 70歳以上と69歳以下の家族がいる世帯はどうなりますか?

厚生労働省の説明によると、次の3段階で計算します。①70歳以上の人の外来の自己負担を個人ごとに合算し、外来の上限を当てはめて差額を支給。②70歳以上の人の入院分と①で残った額を合計し、70歳以上の世帯の上限を当てはめて支給。③69歳以下の自己負担と②で残った額を合計し、世帯全体の上限を当てはめて支給。70歳以上を先に、しかも外来から順に計算するのがポイントです。同じ医療保険に加入している家族であることが前提になります。

わが家の場合はいくら戻る?

高額療養費シミュレーターで計算 →

まとめ

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情報更新日:2026年8月|計算の根拠・参照元について|ツールの埋め込み。本記事は一般的な説明です。参照:厚生労働省「高額療養費制度」/同「患者負担割合及び高額療養費自己負担限度額(令和8年8月〜令和9年7月)」/同「高額療養費制度を利用される皆さまへ」/社会保障審議会 医療保険部会(高額療養費制度の見直し)。上限額・改定内容・所得区分の判定は、加入する健康保険や自治体の通知など最新の公式情報でご確認ください。