医療費控除のやり方|いくらから・いくら戻る・申告の手順
1年間に払った医療費が多かった年は、医療費控除 で税金が戻ることがあります。会社員でも確定申告(還付申告)をすれば受けられ、過去 5年分 までさかのぼれます。対象になる条件と、戻る金額、申告の手順を整理します。
📑 この記事でわかること
いくらから対象になる?
1年間(1〜12月)の医療費から、保険金などで戻った分を引いた額が 10万円を超えた部分 が対象です。ただし 総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく「所得の5%」 が基準になるため、10万円以下でも対象になることがあります。
いくら戻る?(具体例つき)
戻るのは医療費そのものではなく、控除額 ×(所得税率+住民税10%) のぶんです。所得が高いほど税率が上がるため、戻る額も大きくなります。
例:年収500万円の会社員(所得税率10%)が、出産で医療費25万円・保険金など5万円だった年
- 控除額 = 25万円 − 5万円 − 10万円 = 10万円
- 所得税の還付 = 10万円 × 10% = 約1万円
- 住民税の軽減 = 10万円 × 10% = 約1万円
- 合計 約2万円 おトク(概算・復興特別所得税は省略)
「思ったより少ない」と感じるかもしれませんが、申告は一度作れば毎年同じ要領です。医療費がかさんだ年・出産の年・歯の治療をした年は、忘れず申告しましょう。
あなたはいくら戻る?
医療費控除シミュレーターで計算 →対象になる費用・ならない費用
| 対象になる(例) | 対象にならない(例) |
|---|---|
| 通院・入院・手術代 治療のための薬代(市販薬も可) 歯科治療・出産費用・不妊治療 通院の公共交通費 | 美容目的の施術 予防接種・健康増進のサプリ 異常がなかった人間ドック 自家用車のガソリン代・駐車場代 |
申告の手順(4ステップ)
- 領収書を集める…家族(生計を同じくする人)のぶんも合算できる
- 医療費控除の明細書を作る…健康保険の「医療費のお知らせ」も使える
- 確定申告書を作成…国税庁の確定申告書等作成コーナー/e-Taxが便利
- 提出…e-Tax・郵送・税務署窓口のいずれかで
医療費控除は年末調整では受けられません。会社員も確定申告(還付申告)が必要です。還付申告は対象の年の翌年1月から5年間できます(→確定申告のやり方)。
市販薬が多い年は「セルフメディケーション税制」も
医療費が10万円に届かなくても、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間12,000円超買った年は、セルフメディケーション税制という別の控除が使えることがあります(超えた部分・上限88,000円)。健康診断や予防接種など、健康のための取り組みをしていることが条件です。
通常の医療費控除とは選択制(どちらか一方だけ)なので、両方計算して有利な方を選びましょう。対象の薬はパッケージの共通識別マークやレシートの印で確認できます。
迷いやすい個別ケース
- 出産:定期健診・分娩費用は対象。ただし出産育児一時金(50万円)は「保険金など」として差し引く
- 歯科:虫歯治療・インプラントは対象。子どもの歯列矯正も治療目的なら対象(大人の美容目的はNG)
- 交通費:電車・バスなど公共交通機関は対象(明細書に記載でOK)。タクシーは緊急時など やむを得ない場合のみ
- メガネ・コンタクト:ふつうの視力矯正は対象外(治療のため医師の指示があるものは例外)
よくある質問
Q. 共働きの場合、夫と妻どちらが申告すべき?
家族の医療費は生計を同じくしていれば合算して、どちらか1人が申告できます。基本は所得の高い方が申告した方が税率が高いぶん有利です。ただし所得200万円未満の人は基準が「所得の5%」に下がるため、所得の低い方が申告した方が得になるケースもあります。両方試算してみてください。
Q. 領収書は提出するの?
提出は不要です(明細書を作って提出)。ただし領収書は自宅で5年間保存する必要があります。健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」を使うと明細書づくりがラクです。
Q. ふるさと納税もしている年はどうすれば?
医療費控除の確定申告をするとワンストップ特例は無効になります。ふるさと納税の寄付分も、同じ確定申告にまとめて記載してください(→ふるさと納税のやり方)。
Q. 医療費が高額なら、他に使える制度は?
1か月の窓口負担が大きいときは、税金の控除より先に高額療養費制度(自己負担の上限を超えた分が戻る)を確認しましょう。こちらは健康保険の制度で、戻る額も大きいです(→高額療養費シミュレーター)。
まとめ
- 目安は 医療費10万円超(所得200万円未満は5%超)
- 戻るのは 控除額 × 税率 のぶん。家族の医療費は合算して所得の高い人が申告が基本
- 市販薬が多い年はセルフメディケーション税制と比べて有利な方を
- 会社員も 確定申告(還付申告) が必要。過去5年分までさかのぼれる
情報更新日:2026年7月|計算の根拠・参照元について。本記事は一般的な説明です。参照:国税庁「医療費控除を受けられる方へ」「医療費控除の対象となる医療費」。金額・要件は最新の公式情報や、お住まいの自治体・勤務先でご確認ください。