医療費控除はいくら戻る?年収500万・20万円で15,100円の早見表

更新:2026年10月 ・ 読了目安 約10分

医療費控除で戻ってくるのは、支払った医療費そのものではなく 「医療費 − 10万円」×(所得税率 + 住民税10%) のぶんです。2026年分(令和8年分・2027年2〜3月に申告する分)なら、年収500万円の会社員が医療費20万円を払った年で 15,100円。この記事では、年収300万〜800万円 × 医療費15万〜50万円の早見表で「自分はいくら戻るか」を先に確認できるようにしました。

📑 この記事でわかること
  1. 結論:戻るのは「10万円を超えた分の1.5〜3割ほど」
  2. 年収×医療費の早見表
  3. 計算の仕組みを3ステップで
  4. 「10万円の壁」と、所得200万円未満の5%ルール
  5. 保険金・高額療養費は先に引く
  6. セルフメディケーション税制とどちらが得?
  7. 家族の医療費はまとめて1人が申告する
  8. よくある質問
  9. まとめ

結論:戻るのは「10万円を超えた分の1.5〜3割ほど」

医療費控除は所得控除です。控除額がそのまま返金されるのではなく、控除額のぶん課税所得が下がり、その結果として 所得税が還付され、翌年度の住民税が軽くなる という形でお金が戻ります。

戻る額の目安は次の式で決まります。

戻る額 = 医療費控除額 ×(所得税率 + 住民税10%)
医療費控除額 =(1年間の医療費 − 保険金などで補填される金額)− 10万円 ※上限200万円

所得税率は年収によって5%・10%・20%…と上がるので、同じ医療費でも年収が高い人ほど戻る額は大きくなります。おおまかには「10万円を超えた分の1.5割〜3割ほどが戻る」と考えておくと、金額の感覚が合います(所得税率5%の人で約1.5割、10%の人で約2割)。

年収×医療費の早見表

会社員(給与収入のみ・保険金などの補填なし)を前提に、医療費控除シミュレーターと同じ計算で出した「戻る額の合計」です。所得税の還付と住民税の軽減を足した金額を載せています。2026年分(令和8年分)の所得税と、2027年度(令和9年度)の住民税で計算しています。

医療費が15万円・20万円だった年

年収医療費15万円医療費20万円
300万円7,600円15,100円
400万円7,500円15,100円
500万円7,600円15,100円
600万円10,100円20,200円
800万円15,200円30,400円

医療費が30万円・50万円だった年

年収医療費30万円医療費50万円
300万円30,200円60,500円
400万円30,200円60,400円
500万円30,200円60,400円
600万円40,400円80,800円
800万円60,800円121,700円

2026年分は、年収300万〜500万円の会社員の多くが所得税率5%の範囲に入るため、戻る額はほぼ同じです(100円の差は端数処理によるもの)。年収600万円では所得税率が10%になるので、戻る額が大きくなります。また、控除によって課税所得が税率の境目(195万円・330万円など)をまたぐと、適用される税率が途中で変わります。だからこそ端数のない「きれいな数字」にはなりません。表の金額は目安として見てください。

2025年分(令和7年分)の医療費控除は金額が違います。今年2〜3月に申告した2025年分や、これから還付申告(5年以内なら可能)をする2025年分は、2025年の制度で計算します。たとえば年収500万円・医療費20万円なら、2025年分は所得税率10%で20,200円(所得税10,200円+住民税10,000円)でした。2026年分は基礎控除の引き上げで所得税率が5%になるため、15,100円になります。

あなたの年収・医療費でいくら戻る?

医療費控除シミュレーターで計算 →

計算の仕組みを3ステップで

年収500万円・医療費20万円の会社員を例に、順番に追いかけます。

ステップ1 医療費を合計して、戻ったお金を引く

1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費を合計します。ここから、生命保険の入院給付金・高額療養費・出産育児一時金など 「保険金などで補填される金額」を引きます。例では補填なしなので20万円のままです。

ステップ2 10万円を引いて「医療費控除額」を出す

20万円 − 10万円 = 10万円。これが医療費控除額です。上限は200万円で、それ以上は切り捨てになります。

ステップ3 所得税ぶんと住民税ぶんに分けて考える

年収500万円の会社員の所得税率は、2026年分ではおおむね5%です(2025年分は10%でした)。

年収500万円のとき、医療費を増やすと内訳はこう動きます。

1年間の医療費所得税の還付住民税の軽減
20万円5,100円10,000円
30万円10,200円20,000円
50万円20,400円40,000円

すぐ全額は戻りません。還付として現金で入るのは所得税ぶんだけで、住民税ぶんは翌年度の税額が下がる形です。上の例なら、手元に振り込まれるのは15,100円ではなく5,100円。残りは1年かけてじわじわ戻ってくる、とイメージしてください。

「10万円の壁」と、所得200万円未満の5%ルール

差し引く10万円は固定ではありません。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく「総所得金額等の5%」が基準になります。少ない医療費でも対象になりやすくなる、という意味です。

パート・アルバイトや、年の途中で退職して収入が少なかった年は、この5%ルールが効いてきます。「10万円に届かないから関係ない」と決める前に、一度計算してみる価値があります。

保険金・高額療養費は先に引く

戻る額を大きく見誤る原因がここです。次のお金を受け取った年は、医療費から差し引いてから10万円を引きます。

差し引くのは その給付の対象になった医療費からだけ です。たとえば入院給付金10万円を受け取っても、引くのはその入院にかかった費用からで、別の歯科治療費からは引きません。引ききれずに余った分を、他の医療費から引く必要はありません。

例:年収500万円で医療費が合計80万円、うち出産で50万円の一時金を受け取った場合。80万円 − 50万円 − 10万円 = 控除額20万円。戻る額は 30,200円 です(2026年分)。

1か月の窓口負担が大きかった月は、税金の話より先に 高額療養費 を確認しましょう。戻る額の桁が違います(→高額療養費制度のしくみ)。

セルフメディケーション税制とどちらが得?

市販薬をよく買う年は、医療費控除の特例である セルフメディケーション税制 という選択肢もあります。健康診断や予防接種などの取り組みをしている人が、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を買った場合の制度です。

通常の医療費控除セルフメディケーション税制
対象治療のための医療費全般対象の市販薬の購入費
差し引く額10万円
(所得200万円未満は5%)
12,000円
控除の上限200万円88,000円
戻る額の例
(年収500万円)
医療費20万円なら
15,100円
市販薬5万円なら
5,800円

両方は使えません(選択制)。しかも確定申告のあとで選び直すことはできないので、どちらが得かは申告前に比べておきます。判断の目安はシンプルです。

たとえば年収500万円で、1年の医療費が8万円(うち対象の市販薬5万円)だった場合。通常の医療費控除では0円ですが、セルフメディケーション税制なら控除額38,000円で 約5,800円 戻ります(2026年分)。逆に医療費が20万円あるなら、通常の控除で15,100円なので、そちらを選びます。

セルフメディケーション税制は適用期限が決められている特例です。申告の前に、国税庁のページで現在の取り扱いを確認してください。

家族の医療費はまとめて1人が申告する

医療費控除は 生計を一にする 配偶者や親族のぶんを合算できます。同居していなくても、仕送りをしている子どもや親の医療費は対象になります。共働きで財布が別でも、生活費を共にしていれば合算できます。

合算して1人が申告するとき、基本は 所得税率の高い人(収入の多い人)が申告する と戻る額が大きくなります。早見表のとおり、同じ医療費20万円でも年収300万円なら15,100円、年収800万円なら30,400円と、倍近い差が出るためです。

例外もあります。片方の総所得金額等が200万円未満なら、その人の基準額は10万円より下がります。医療費が10万円前後の年は、収入の少ない方が申告したほうが控除額が大きくなり、結果的に得になることがあります。迷ったらシミュレーターで両方の年収を入れて比べてみてください。

よくある質問

Q. 会社の年末調整でやってもらえますか?

できません。医療費控除は年末調整の対象外なので、会社員でも自分で確定申告(還付申告)をします。手順は 医療費控除のやり方 にまとめています。

Q. 領収書がない分はあきらめるしかない?

健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」があれば、それを使って明細書を作れます。通院の電車・バス代のように領収書が出ないものは、日付と金額をメモしておけば大丈夫です。

Q. 医療費控除を使うと、他の制度に影響しますか?

住民税の課税所得が下がるため、保育料や高額療養費の区分など、住民税をもとに決まる負担が下がることがあります。逆に、ふるさと納税をしている年は控除上限額がわずかに下がる点に注意してください(→ふるさと納税の上限額・どれくらい下がるかの数値例はふるさと納税と医療費控除の併用)。

Q. 戻ってくるのはいつですか?

所得税の還付は、e-Taxなら申告からおおむね3週間、書面での提出なら1か月〜1か月半が目安とされています。住民税の軽減は、その年の6月から翌年5月にかけての住民税に反映されます。

Q. どこまでが対象の医療費かわかりません。

補聴器・眼鏡・歯の矯正・タクシー代・接骨院や鍼灸など、迷いやすいものは 医療費控除の対象になるもの・ならないもの一覧 に根拠つきでまとめています。

まとめ

ほかの関連:高額療養費シミュレーター/高額療養費制度のしくみ

情報更新日:2026年10月|計算の根拠・参照元について|ツールの埋め込み。本記事は一般的な説明です。金額は給与収入のみの会社員を前提にした概算(2026年分の所得税・2027年度の住民税)で、実際の還付額は他の所得控除や扶養の状況によって変わります。最新の要件は国税庁のページでご確認ください。