育児時短就業給付金はいくら?時短後の月給20万円で月2万円の早見表
育児時短就業給付金でもらえるのは、原則として 「時短勤務中に支払われた月給 × 10%」 です。時短後の月給が20万円なら 月2万円、24万円なら月2万4,000円。2025年4月に始まったばかりの新しい給付で、2歳未満の子を育てながら時短勤務をする人が対象です。この記事は厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日時点版)の数字にそろえています。
📑 この記事でわかること
結論:もらえるのは「時短後の月給の10%」
育児時短就業給付金は、育児休業給付金のように「休んでいる間の収入を補う」給付ではありません。時短勤務で働いて減った分を、少しだけ埋めるための給付です。
支給額 = その月に支払われた賃金 × 10%
※時短後の賃金が時短前の90%を超える場合は、支給率が10%より下がります(→逓減のしくみ)
ポイントは、10%をかける相手が 「時短前の給料」ではなく「時短後に実際に支払われた給料」 だという点です。ここを取り違えると金額が大きくずれます。
- 対象になる賃金は、その月に支払われた賃金(残業代や通勤手当を含みます)
- 賞与(ボーナス)は入りません。臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除かれます
- 給付は 月ごと に計算されます。残業が多かった月は賃金が増えるので給付額も増えます
制度の名前は「育児時短就業給付金」です。育児休業給付金(育休手当)とは別の給付で、2025年(令和7年)4月1日に、出生後休業支援給付金と同時に創設されました。
月給別の早見表:いくらもらえる?
まずは、時短勤務で 給料が時短前の8割になった ケースです。金額はすべて、厚生労働省の計算ルールにそのまま当てはめて出した1か月あたりの給付額です。
| 時短前の月給 | 時短後の月給 | 毎月の給付金 |
|---|---|---|
| 20万円 | 16万円 | 16,000円 |
| 25万円 | 20万円 | 20,000円 |
| 30万円 | 24万円 | 24,000円 |
| 35万円 | 28万円 | 28,000円 |
| 40万円 | 32万円 | 32,000円 |
次に、時短前の月給が25万円の人が、給料の下がり方を変えた場合です。1日8時間を6時間にすると給料はおおむね75%になります。
| 時短後の月給 | 時短前と比べた割合 | 毎月の給付金 |
|---|---|---|
| 22万5,000円 | 90% | 22,500円 |
| 20万円 | 80% | 20,000円 |
| 18万7,500円 | 75% | 18,750円 |
| 17万5,000円 | 70% | 17,500円 |
| 15万円 | 60% | 15,000円 |
表を見ると分かるとおり、給料が下がるほど給付金も減ります。「減った分の10%が補われる」のではなく「残った給料の10%が上乗せされる」しくみだからです。時短の時間を増やしても、給付金で穴埋めされる割合は変わりません。
時短勤務を2年間続けた場合の合計も見ておきます。時短前の月給25万円・時短後18万7,500円なら、月1万8,750円 × 24か月で 45万円 ほど。金額としては小さくありませんが、下がった給料そのものを埋めるものではない、という前提で家計を組み立てておくと安全です。
時短後の給料が「9割超」だと、もらえる額が急に小さくなる
ここが見落とされやすい点です。時短後の賃金が時短前の90%を超えると、支給率は10%から下がっていきます。給付金を足した結果、時短前の給料を上回ってしまわないようにするための調整です。
支給率(%) = 9,000 ÷ 賃金率 − 90
賃金率(%) = その月の賃金 ÷ 時短前の賃金月額 × 100
時短前の月給が30万円の人を例に、実際の金額を並べます。
| 時短後の月給 | 支給率 | 毎月の給付金 |
|---|---|---|
| 27万円 (90%) | 10.00% | 27,000円 |
| 27万6,000円 (92%) | 7.83% | 21,610円 |
| 28万5,000円 (95%) | 4.74% | 13,509円 |
| 29万4,000円 (98%) | 1.84% | 5,409円 |
| 30万円 (100%) | 0% | 支給なし |
時短前の90%ちょうどなら2万7,000円、95%だと1万3,509円。わずか5%の違いで給付金は半分以下になります。時短で労働時間を少し減らしただけ、あるいは残業が多くて賃金があまり下がらなかった月は、この範囲に入ることがあります。
月によって金額が変わります。給付は月ごとの計算なので、残業が増えた月だけ賃金率が90%を超えて給付金が減る、ということが起こります。毎月同じ額が振り込まれるとは限らない点に注意してください。
上限・下限と「1円ももらえない」ケース
計算の土台になる「育児時短就業開始時賃金月額」(時短前の月給)には上限と下限があり、給付額そのものにも限度額があります。いずれも2026(令和8)年8月1日時点の額で、2027(令和9)年7月31日まで適用されます。
| 項目 | 金額 | 意味 |
|---|---|---|
| 賃金月額の上限 | 496,200円 | 時短前の月給がこれを超えても、この額として計算 |
| 賃金月額の下限 | 96,090円 | 時短前の月給がこれを下回っても、この額として計算 |
| 支給限度額 | 484,121円 | 賃金+給付金がこの額を超えないよう調整 |
| 最低限度額 | 2,562円 | 計算した給付額がこの額以下なら支給されない |
支給限度額の効き方を、厚生労働省の資料にある例で確認します。時短前の月給が上限の49万6,200円、時短後の月給が44万5,000円の場合、10%なら4万4,500円ですが、44万5,000円 + 4万4,500円 = 48万9,500円が支給限度額の48万4,121円を超えます。そのため支給額は 48万4,121円 − 44万5,000円 = 3万9,121円 に圧縮されます。
次の場合は給付金が支給されません。
- 時短後の賃金が 時短前の100%以上 のとき(賃金が減っていないとみなされます)
- 時短後の賃金が 48万4,121円以上 のとき
- 計算した給付額が 2,562円以下 のとき(例:時短前30万円・時短後29万8,500円だと1,343円となり支給されません)
- その月に 高年齢雇用継続給付 を受けたとき
- 月の初日から末日まで続けて 育児休業給付・介護休業給付 を受けられる休業を取っていた月
上限額・限度額は「毎月勤労統計」の平均定期給与額をもとに 毎年8月1日に改定 されます。この記事の金額は2026年8月1日改定後のものです。時期をまたぐときは、厚生労働省のページで最新の額を確認してください。
育休給付・出生後休業支援給付との違い
2025年4月からは、育児に関する雇用保険の給付が4つになりました。混同しやすいので、並べて整理します。
| 給付の名前 | いつ | 給付率 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金 | 産後パパ育休を取ったとき (28日が限度) | 67% |
| 育児休業給付金 | 原則1歳未満の子の 育児休業中 | 180日まで67% その後50% |
| 出生後休業支援給付金 | 上の給付を受ける人が 要件を満たしたとき | 13% |
| 育児時短就業給付金 | 2歳未満の子を育てながら 時短勤務で働くとき | 10% |
いちばん大きな違いは、育休給付は「休んでいる間」、育児時短就業給付金は「働いている間」の給付だという点です。育休給付は休業前の賃金をもとに計算しますが、育児時短就業給付金は実際に支払われた賃金をもとに毎月計算します。
出生後休業支援給付金は、育休給付の67%に13%を上乗せして合計80%にする給付です。育児休業中は社会保険料が免除され、給付金は非課税のため、厚生労働省はこの80%を 「手取り10割相当」 と説明しています。育児時短就業給付金にはこうした上乗せはありません。
時系列でいうと、産後休業 → 育児休業(+出生後休業支援給付金)→ 復職して時短勤務(育児時短就業給付金) という流れになります。育休中にもらえる額は 育休手当はいつ・いくらもらえる? にまとめています。
復帰前に、育休中の手当も確認しておく
育休手当シミュレーターで計算 →もらえる人・もらえない月の条件
受給資格として、次の2つをどちらも満たす必要があります。
- 2歳未満の子を養育するために、週の所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者であること
- 育児休業給付の対象となる育児休業から 引き続き 同じ子について時短勤務を始めたこと。または、時短勤務を始めた日の前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上(ない場合は基礎となった時間数80時間以上)の完全月が12か月あること
「引き続き」には幅があり、育休が終わった日の翌日(復職日)から時短勤務を始める場合のほか、育休終了から時短勤務開始までが14日以内 なら引き続きとして扱われます。
そのうえで、各月について次の4つをすべて満たす月が支給の対象になります。
- 初日から末日まで続けて被保険者である月(月の途中で退職した月は対象外。月末日の退職なら対象)
- 週の所定労働時間を短縮して働いた期間がある月
- 初日から末日まで続けて育児休業給付・介護休業給付を受けていない月
- 高年齢雇用継続給付の対象になっていない月
時短の幅そのものに決まりはありません。育児・介護休業法にもとづく「1日6時間」の措置に限らず、週の所定労働時間が短くなっていれば対象です。所定労働日数を減らした結果として週の労働時間が短くなる場合も含まれます。短時間正社員やパートへの転換、転職にともなう短縮も同様に扱われます。
週20時間を下回ると対象外になります。短縮後の週所定労働時間が20時間未満になると、原則として雇用保険の被保険者でなくなるため給付を受けられません。就業規則などで「小学校就学の始期までに週20時間以上へ戻る前提」が書面で確認できる場合は例外とされています。時短の時間数を決める前に、勤務先に確認しておきたい点です。
フレックスタイム制・変形労働時間制・裁量労働制・シフト制の人にも、それぞれ取り扱いの決まりがあります(清算期間の総労働時間を短縮したか、みなし労働時間を短縮したか、など)。当てはまりそうな場合は、勤務先またはハローワークに確認してください。
申請は会社経由でハローワークへ
育児時短就業給付金は、自分でハローワークに出向いて申請するのが基本ではありません。原則として、勤務先の事業主が事業所の所在地を管轄するハローワークに手続きします(本人が希望すれば自分で行うこともできます。ただし時短勤務前の賃金の届出は事業主が行います)。
| 手続き | 誰が | 期限 |
|---|---|---|
| 時短勤務開始時の賃金の届出 | 事業主 | 初回の支給申請まで |
| 受給資格の確認・初回の支給申請 | 原則 事業主 | 最初の支給対象月の初日から4か月以内 |
| 2回目以降の支給申請 | 原則 事業主 | 支給対象月の初日から4か月以内 |
支給申請は 原則として2か月ごとに2か月分をまとめて 行います(希望すれば1か月ごとも可能)。育休給付の対象となる育児休業から引き続き時短勤務を始めた場合は、賃金の届出は不要です。
振込までの流れは次のとおりです。ハローワークが賃金台帳などで内容を確認して支給決定をすると「育児時短就業給付金支給決定通知書」が交付され、支給決定から口座への振込までおおむね1週間とされています。2か月ごとの申請なので、時短勤務を始めてから初回の入金まで数か月かかるのが普通です。生活費の見通しを立てるときは、この タイムラグ を織り込んでおくと安心です。
自分のケースで対象になるか判断がつかないときは、勤務先の担当部署か、事業所を管轄するハローワークに確認してください。厚生労働省は育児休業等給付の専用コールセンター(0570-200-406/平日8:30〜17:15)も設けています。
復職に向けては、保育園の申し込みと手当の手続きも並行して進むことになります。全体の流れは 子育てでやることリスト(手続きの順番)、保育料の目安は 保育料はいくら? にまとめています。
よくある質問
Q. 賞与(ボーナス)は計算に入りますか?
入りません。臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、支給額の計算から除かれます。なお、数か月分をまとめて支払われる通勤手当のように、本来は毎月発生するものを事務の都合でまとめて払っているものは、月数で割って各月に支払われたものとして扱われます。
Q. 育休を取らずに、いきなり時短勤務を始めても対象になりますか?
なり得ます。育休から引き続き時短勤務を始めた場合のほか、時短勤務を始めた日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月あれば受給資格を満たします。父親が育休を取らずに時短勤務へ移る場合や、育休を終えてしばらく通常勤務をしたあとで時短に切り替える場合が当てはまります。
Q. 夫婦それぞれがもらえますか?
要件を満たせば、それぞれが受給できます。育児時短就業給付金は世帯ではなく、雇用保険の被保険者一人ひとりについて判断される給付だからです。詳しい取り扱いは勤務先やハローワークに確認してください。
Q. 途中で転職したらどうなりますか?
厚生労働省は「転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点」という資料を出しており、条件次第で再開できる場合があります。ただし手続きが複雑になるため、転職が決まった段階でハローワークに相談してください。
Q. 税金や社会保険料はかかりますか?
雇用保険の育児休業等給付は非課税とされています。一方で、育児休業中と違い 時短勤務中は社会保険料の免除はありません。ただし時短で標準報酬月額が下がったときは、将来の年金額が下がらないようにする「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度があります。手続きが必要なので、勤務先か年金事務所に確認してください。
まとめ
- 支給額は原則 「その月に支払われた賃金 × 10%」。時短後の月給20万円なら月2万円
- 10%をかけるのは 時短後の賃金。賞与は入らない
- 時短後の賃金が時短前の 90%を超えると支給率が下がり、100%以上で不支給
- 賃金月額の上限49万6,200円、支給限度額48万4,121円、最低限度額2,562円(2026年8月1日時点・毎年8月1日改定)
- 対象は 2歳未満の子 を育てる時短勤務。週20時間を下回ると対象外になりうる
- 申請は 原則として勤務先経由でハローワークへ。2か月ごとにまとめて申請するのが基本
情報更新日:2026年9月|計算の根拠・参照元について|ツールの埋め込み。本記事は一般的な説明です。金額は厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日時点版)の計算ルールにもとづく概算で、実際の支給額・支給の可否はハローワークの決定によります。個別の取り扱いは勤務先または事業所を管轄するハローワークにご確認ください。