失業保険の受給資格|被保険者期間12か月が条件・自己都合と会社都合の違い
失業保険(正式には雇用保険の基本手当)をもらえるかどうかは、①雇用保険に入っていた期間 ②離職の理由 ③いま働ける状態かの3つで決まります。中心になるのは「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上」という条件で、倒産・解雇などなら1年間に6か月以上に緩みます。ハローワークと厚生労働省の資料をもとに整理しました。
📑 この記事でわかること
結論:受給資格は3つの条件で決まる
ハローワークは、基本手当は「雇用保険の被保険者が離職して、次の1及び2のいずれにもあてはまるとき」に支給されると説明しています。暮らしの言葉に置き換えると、次の3つです。
- ① 加入期間:離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上ある(倒産・解雇など=特定受給資格者・特定理由離職者は、1年間に6か月以上でも可)
- ② 離職の理由:①でどちらの基準が使われるか、待つ期間があるかが変わる
- ③ 失業の状態:求職の申込みをしていて、就職しようとする積極的な意思と、いつでも就職できる能力があるのに職業に就くことができない
条件①:離職の日以前2年間に、被保険者期間が12か月以上
いちばんの関門がここです。ハローワークの表現は「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること」。ただし「特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可」とされています。
ポイントは「通算して」です。同じ会社の期間だけでなく、転職をはさんだ複数の勤務先の期間も合算できる場合があります。自分が雇用保険に入っていたかどうかは、給与明細の「雇用保険料」の欄と、退職時に会社から届く離職票で確かめられます。離職票には月ごとの賃金支払基礎日数まで載っています。
被保険者期間の数え方――11日以上、または80時間以上の月
ここが最も間違えやすい点です。「12か月」は在籍していた月数ではありません。ハローワークの定義はこうです。
雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と計算します。
区切りは暦月ではなく、離職日を起点に1か月ずつさかのぼる点にも注意してください。9月20日に退職したなら、8月21日〜9月20日が1つ目の月です。
| その月の働き方 | 1か月として数えるか |
|---|---|
| 賃金支払いの基礎となった日数が11日以上 | 数える |
| 日数は11日未満だが、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上 | 数える |
| 日数も11日未満、時間数も80時間未満 | 数えない |
「80時間以上」は、勤務日数が少なくても1日の勤務時間が長い働き方を拾うための基準です。週2〜3日のシフト勤務で日数が足りない月でも、時間数で1か月分と認められることがあります。
自己都合と会社都合で、何がどう変わるか
離職の理由で、必要な加入期間ともらい始めまでの時間が変わります。
| 項目 | 自己都合(一般の離職者) | 倒産・解雇など (特定受給資格者・特定理由離職者) |
|---|---|---|
| 必要な被保険者期間 | 離職前2年間に12か月以上 | 離職前1年間に6か月以上でも可 |
| もらい始めるまで | 待期7日+給付制限 | 待期7日のみ |
| 所定給付日数 | 短め | 手厚くなる場合がある |
待期は全員に共通で、求職の申込み後、失業の状態にある7日間は基本手当が支給されません。自己都合では、この待期のあとにさらに給付制限が付きます。
給付制限の期間は2025年4月に見直された
厚生労働省の「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)」の資料には、通達の改正により原則の給付制限期間を2か月から1か月へ短縮すると書かれています。整理すると次のとおりです。
- 退職日が2025年(令和7年)4月1日以降なら、給付制限は原則1か月
- 退職日が2025年3月31日以前なら、原則2か月
- 退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由がない自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合は3か月
- 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)の場合も3か月
あわせて、離職期間中や離職日前1年以内に自ら教育訓練等を受けた場合は給付制限が解除されるしくみも2025年4月1日に始まりました(教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練など)。申し出に期限があるので、受講中の人は早めにハローワークへ。
特定受給資格者・特定理由離職者になるのはどんな人
この2つにあてはまれば、必要な加入期間が6か月に下がり、給付制限も付きません。ハローワークが公表している範囲から身近なものを抜き出します。
| 区分 | あてはまる例(一部) |
|---|---|
| 特定受給資格者 (倒産・解雇等) | 倒産/事業所の廃止/事業所の移転で通勤が困難/解雇(重責解雇を除く)/賃金の3分の1を超える額が支払期日までに未払い/離職直前6か月のいずれか1か月で100時間超の時間外労働/退職するよう勧奨を受けた/著しい冷遇や嫌がらせ |
| 特定理由離職者 (有期契約の満了・正当な理由のある自己都合) | 更新を希望したのに有期契約が更新されず離職/体力の不足、心身の障害、疾病、負傷など/妊娠・出産・育児で離職し受給期間の延長措置を受けた/父母の疾病や負傷で扶養の必要が生じた/結婚に伴う住所変更で通勤が困難/配偶者の転勤に伴う別居の回避 |
受給資格があっても、もらえないケース
加入期間を満たしていても、③の「失業の状態」にあてはまらなければ対象外です。ハローワークは、次のような状態のときは基本手当を受けられないと明記しています。
- 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
- 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
これに加えて、退職時点で次の就職先が決まっている人や、離職後に自分で事業を始めた・その準備に専念し始めた人も、求職中とは言えないため対象から外れます。
働けない事情があるときの受け皿
- 受給期間の延長:病気、けが、妊娠、出産、育児等で引き続き30日以上働けなくなったときは、その日数だけ受給期間を延ばせます(最長3年)。働ける状態に戻ってから受け取る形です。
- 傷病手当:求職の申込み後に15日以上引き続いて病気やけがで職業に就けない場合に支給されます。日額は基本手当と同額です(14日以内なら基本手当が出ます)。
- 受給期間の特例:離職日の翌日以後に事業を始めた場合も、要件を満たせばその期間を受給期間に算入しない特例を最大3年まで申請できます。
手続きの流れと、いくら・何日もらえるか
受給資格があると分かったら、あとは手続きです。
- 退職した会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職の申込みをし、受給資格の決定を受ける
- 待期7日(自己都合はこのあと給付制限)
- 雇用保険受給者初回説明会に出席する
- 原則4週間に1度の失業の認定を受ける
- 認定を受けた日から通常5営業日で口座に振り込まれる
認定日には求職活動の実績が要ります。認定対象期間中に原則2回以上(初回の認定日にかかる期間は1回)で、求人への応募、ハローワークの職業相談・職業紹介、各種講習やセミナーの受講などが対象です。求人情報を眺めただけでは実績になりません。
「いくら・何日もらえるか」は退職前6か月の賃金・年齢・加入期間・離職理由で決まり、所定給付日数は90日〜360日の範囲です。
よくある質問
Q. パート・アルバイトでも受給資格はありますか?
あります。材料は雇用形態ではなく、雇用保険の被保険者であったことと被保険者期間が足りていることです。給与明細に雇用保険料が引かれていれば被保険者で、勤務日数が少ない月でも時間数が80時間以上あれば1か月として数えられます。
Q. 被保険者期間が12か月に届きません。あきらめるしかない?
先に3点を確認してください。①離職理由が倒産・解雇や有期契約の満了などなら、基準は1年間に6か月以上。②月の数え方は暦月ではなく離職日起点。③時間数80時間以上の月を数え落としていないか。判断がつかなければ離職票を持ってハローワークで確認を。
Q. 自己都合だと、そもそも受給資格がもらえないのでは?
いいえ。自己都合でも、離職の日以前2年間に被保険者期間が12か月以上あれば受給資格は得られます。違うのは待期7日のあとに給付制限が付く点で、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です。
Q. 退職してから、いつまでに手続きすればいいですか?
受給期間は離職した日の翌日から1年間です。1年を過ぎると所定給付日数が残っていても受け取れません。給付制限がある人は受け取り始めが遅くなるので、離職票が届いたらすぐ手続きに動くのが安全です。
Q. 退職後に体調を崩して、すぐには働けません。どうなりますか?
すぐに就職できない状態は「失業の状態」にあたらないため、そのままでは対象外です。ただし引き続き30日以上働けないときは受給期間の延長を申請でき、最長3年まで受け取れる期間を先に延ばせます。求職の申込み後に15日以上働けなくなった場合は傷病手当もあります。
まとめ
- 受給資格は①加入期間 ②離職理由 ③すぐ働ける状態かの3つで決まる
- 加入期間は離職の日以前2年間に被保険者期間12か月以上。倒産・解雇などは1年間に6か月以上
- 被保険者期間は在籍月数ではなく、賃金支払基礎日数11日以上、または時間数80時間以上の月を1か月と数える
- 自己都合は待期7日+給付制限。2025年4月1日以降の退職は原則1か月に短縮された
- すぐ働けない人は対象外だが、受給期間の延長や傷病手当がある
- 受給期間は離職日の翌日から1年。離職票が届いたら早めにハローワークへ
出典・参考
情報更新日:2026年9月|計算の根拠・参照元について。本記事は一般的な説明です。参照:ハローワークインターネットサービス・厚生労働省(雇用保険 基本手当)。個別の受給資格の判定はハローワークでご確認ください。